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【 #私のおいしい瞬間 】目指すのは、”音”が聞こえてくる写真。

みなさんが、おいしいと感じる瞬間はどんな時ですか?
料理を食べている時はもちろん、お店で食材を選ぶときや調理中の音、匂いなど、日々の暮らしで「ふっ」と感じるおいしいシーン。そんなおいしいを感じる場面を #私のおいしい瞬間 と題してクリエイターさんにうかがいました。
新しい視点で見ると、毎日のごはんもより一層おいしく感じるかも!

今回は、広告やWEB、雑誌を中心に活躍しながらプライベートでも様々な料理を作る写真家のヤンス・キムさんにインタビュー。お気に入りの一品を撮りながら見えてきた、ヤンスさんの写真と共に、ヤンスさんの #私のおいしい瞬間 や料理に対する考え方をご紹介します。

【プロフィール】写真家/ヤンス・キム
1992年奈良県生まれ。東京都在住。
透明感のある世界観で静止画・動画問わず、広告、WEB、雑誌を中心に活動中。
WEB:yansukim.com

小さい頃に見た、両親が作る料理の風景。

「僕が料理を撮る時の視点っていうのは、小さい頃に両親が料理を作っているのを見ていた時の視点なんです。」

そう話すヤンスさんは、父、母、姉、妹の5人家族。両親が共働きで忙しかったこともあり、小さい頃からよくお料理をされていたのだとか。

「私がはじめて料理を作ったのは保育園の時。目玉焼きでした。その当時、小学1年生の姉と、保育園児の僕、小さい妹の3人で台所に立ってよく料理していたのを思い出します。
小さい頃から、人が作っている料理風景を見るのも好きです。両親が作ってくれる風景をよく覚えているせいか、僕の写真は“子どもがのぞいているみたいな写真だね”とよく言われます。」

今回、ヤンスさんが #私のおいしい瞬間に選んだ料理は 、彩り豊かな「夏野菜のぶっかけそうめん」。仕事を一緒にすることが多いという料理家さんが、はじめて会った時に作っていた料理なんだそう。

「最初に料理家さんが作ってくださった時のキラキラ感が忘れられなくて、自分でも作るようになりました。これからの季節にもぴったりですし、色とりどりの野菜が目にも鮮やかな料理なので、この記事を見てくれる人にも元気になってもらえたらと思いチョイスしました。今回は、おいしい瞬間を逃さない為に、この料理を教えてくださった料理家さんにお料理はお願いして、撮影をしました。」

用意した野菜は、かぼちゃ、パプリカ、ズッキーニ、ししとうがらし、さやいんげん、なすの、色鮮やかなラインナップです。

作り手の気持ちを写真にのせる。味だけじゃない「おいしい」瞬間とは?

「僕が料理を撮影する時に大切にしていること。まず“おいしそうに撮る”っていうのは絶対なんですが、その上で作っている方の気持ちも写真にのせたいと思っています。ひとつひとつの所作やちょっとしたひと手間から感じられる、作ってくれた方の感情や優しさも含めた、トータルの“おいしい”をちゃんと残せるようにしたいです。」

そう話すヤンスさんの写真は、完成した料理写真だけではなく、調理中の写真も多く見られます。

「作っている途中とか、切っているところとかの所作も好きです。料理って、プロセスそのものに美しさとか尊さがたくさんあると思うんです。まな板を洗っている写真も撮影していますが、料理って洗うとか片付けるとかも含めた総合的なパワーの結晶なので、こういったシーンも“おいしい”に向かっていると思います。」

ラップに包んだ小皿の中で出番を待つ薬味にもフォーカス。食材が乾かないためのほんのひと手間も尊いと感じると話すヤンスさん。

目指すのは、“音”が聞こえてくる写真。

切りそろえた野菜を熱々の油に投入。キラキラと跳ねる油が美しいです。

「写真を撮りながらよく思うのは、写真を見る方にもこの音が聞こえたらいいなと。映像だったら音が入るので伝えられるんですが、写真に音は入れられない。だから料理を撮る時は、音が聞こえる写真っていうのをいつも目指しています。」

「食材が半分片足突っ込んでいる、ちょっと中途半端な瞬間もなんだかおいしそうで好きなんですよ。この写真のように、無音からジュワっと音が始まる瞬間みたいに、なんとなくみんなが思い出す音ってあるじゃないですか。無意識下にある音のイメージを見る人にどうやって呼び覚ますか。僕自身、よく料理をするのでそういうタイミングに目が行きますね。」

揚げた野菜をバットにのせてひと休み。野菜たちはまるで陶器のような美しい光沢感をまとっています。並べ方にも料理家さんの丁寧な所作が伝わってきます。

「この写真は、かぼちゃが半分だけつゆに浸かっている瞬間なんですが、タイミング的に絶妙で。撮れると思ってなかったのでお気に入りの一枚です。
あと、私の写真はいつも被写体との距離が近いのが特長なんです。子どもがのぞているみたいって言われる理由はこれなんだろうなって思います。親が料理する手元で子どもは見ているから、子どもが1番料理に近いところにいる。その距離感は大事にしています。」

特製のつゆはポン酢しょうゆと水を半々で割ったシンプルなもの。一晩漬けおきするとじっくり味がしみ込むそうなのですが、20分くらいでもおいしく仕上がるそう。
ちょっと暑くなってきた季節の土曜のお昼、旬の夏野菜を楽しめるテンションの上がる一皿が食べたい。そんな時をイメージして撮影したとお話しされていました。

おいしい写真を撮るには、まず料理をしてみること。


おつゆをかけて薬味を添えて、完成!さっぱりおいしい「夏野菜のぶっかけそうめん」。

食べている途中もパシャリ。食べる順番やスピードにもその人らしさが表れると話すヤンスさん。

「作る側の気持ちや調理器具の使い方・タイミングがわかれば、撮る時にそれらを意識的にくみ取ることができる。より“おいしい”瞬間を捉えることができるかもしれない。
この気持ちを忘れずに、写真を見た方もそこで一緒に料理をしているような、そんな写真をこれからも撮れたらと思っています。」

お話をうかがってみて…
「AJINOMOTO PARK」編集部のあとがき

「トントントン」「ジュワッ」「チャポン」。まるでその場にいるかの様な料理の“音”がヤンスさんのお写真からは聞こえてきました。
味だけじゃない、見た目からもおいしいは作れる。そして、完成したお料理から、調理された方の気づかいやパワーも感じることができると、ヤンスさんのお話を聞いて思いました。
料理を作らなきゃ!と焦ってしまいがちな毎日ですが、少し手を止めて、食材の色合いや料理中の何気ない音に意識を向けると、いつもの料理がいつもとは違って見えてくるかもしれません。
そんな、食の楽しさ「たべる楽しさを、もっと。」をこれからもお届けしたいと改めて感じました。

みなさんが、おいしいと感じる瞬間はどんな時ですか?

「AJINOMOTO PARK」おすすめレシピはこちら

「AJINOMOTO PARK」では、10,000件以上のかんたんでおいしいレシピが揃っています。
その中から、この記事を読んだ方に特におすすめしたいレシピを厳選!野菜をたっぷりつかったそうめんレシピを2つご紹介します。


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